■ 水 |
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水は犬猫の生命を維持する上で最も重要な栄養素です。
体温を調整したり組織の潤滑油としての役割を果たしたり、
塩分や他の電解質を体の隅々まで運んだり、食物の消化を
助けたりまた不要な物質を除去したりといった働きを担って
います。
成犬や成猫の体は、体重の50%から60%が水分により
構成されています。一般に食事の摂取量が多ければ多いほど、
水の必要量も増えていきます。逆に水の摂取量が十分でない
場合には、食事の量が減り、ひいては発育の遅れにつながる
こともあります。
犬や猫は水分が不足すると脱水症状を起こし、体はまず尿を
濃縮して排泄量を減らす事により不足を補おうとします。さらに
深刻な水分不足になると、犬猫は体温調節機能を停止します。
そうなると体温が急激に上昇し、死亡の危険にさらされることも
あります。犬猫は、自発的に不健康な程の量の水を摂取する
ことはありませんので、十分に新鮮な水を与えることが必要です。
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■ タンパク質 |
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タンパク質は血液、筋肉、内臓、脳髄、神経、毛、爪、皮膚、
ホルモン、酵素などの組織や体液などをつくる構成材料で
あると共に、エネルギーとして利用されます。タンパク質は
アミノ酸が結合したもので、アミノ酸には多くの種類があり
ますが、大きく分けて2種類あります。生体内で合成可能な
非必須アミノ酸と、生体内で合成不可能で食事から取らなけ
ればならない必須アミノ酸があります。
犬や猫の細胞は、全部で23種類のアミノ酸から構成されますが、
犬にとっての必須アミノ酸はそのうち10種類、猫にとっての
必須アミノ酸はその内11種類です。タウリンは、猫にとっては
必須アミノ酸ですが、犬にとっては必須のものではありません。
また、非必須アミノ酸は、植物性タンパク質に多く含まれ、
必須アミノ酸は、動物性タンパク質に多く含まれています。
特にタウリンは動物性タンパク質に多く含まれています。
猫のタンパク代謝は、体内にタンパク質の再合成に必要な
窒素を適切な量蓄えることが出来ないので、犬と比べると
非常に多くのタンパク質量を必要とします。
成猫のタンパク質必要量は成犬の約1.5倍〜2倍といわれてい
ます。これは真の肉食動物である猫と、雑食性の犬との間の
栄養的な必要性の違いによるものです。 |
タンパク質の過剰 |
体内で使い切れなかった余分なアミノ酸は、糖か脂肪に換えられ
脂肪として体に蓄積されるため肥満の原因となります。その際、
壊されたアミノ酸から出るゴミ(窒素物)は、肝臓でろ過され排泄
されます。長期間に渡ってこの過剰なろ過を続けると肝臓を傷めて
しまいます。 |
タンパク質の不足 |
非常に重い病気を招きます。特に子犬や子猫の場合、成長障害の
原因となります。病気におけるタンパク質の不足は、病気の回復を
遅らせる大きな原因ともなります。
その他、貧血、抗菌性低下、食欲減退、発情遅延、被毛の劣化など
が挙げられます。 |
タウリンの不足 |
タウリンは、心筋や眼(視紅細胞)の構成細胞に多く含まれている
ため、不足すると心筋炎や網膜の異常、失明の原因にもなります。
そのため猫にとっての必須アミノ酸であるタウリンは、とても重要な
もので注意する必要があります。 |
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■ 炭水化物 |
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炭水化物は、脂肪とともに二大食物エネルギー源となっています。
炭水化物は、糖質と繊維質で構成されていて、体のエネルギー源
になる一方、消化器の機能を正常に保ちます。糖質は、ブドウ糖と
デンプンからなり、ブドウ糖はそのまま吸収されますが、デンプンは
加熱調理し、ブドウ糖に変えないとなかなか吸収されません。
脂肪とタンパク質から体内でブドウ糖をつくることが出来ます。しかし、
タンパク質や脂肪の働きをそこなわないように、炭水化物の十分な
供給が必要です。
繊維質は厳密に言えば栄養素ではありませんが、健康的な食事に
欠かせない役割を担っています。便秘を防いだり、消化された食物が
腸を通り抜けるのを調整する働きを持っているのです。
その働きにより、内臓の中を食物の残りカスが通過するのにかかる
時間が短縮されるため、体にとって有害な物質が吸収される可能性を
減らす事にもなります。また繊維質内には水分を吸収する物質が
含まれているので、便の量を増やしたり、腸内のバクテリア(細菌)の
分布を正常化する働きも持っています。 |
炭水化物の過剰 |
炭水化物が体のなかで余ると脂肪に変えられ、肥満の原因になります。 |
炭水化物の不足 |
炭水化物の不足は低血糖状態をまねきます。そのため、食物中の
タンパク質が消費されやすくなり、体に必要なタンパク質を供給する
ことが出来にくくなるため、病気の回復を遅らせる原因となります。 |
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■ 脂質 |
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脂肪はエネルギーの凝縮されたもので、広い範囲にわたるさま
ざまな食物から得ることが出来ます。脂肪は優れたエネルギーと
脂肪酸の供給源となっています。また、脂肪は内臓の保護、体温の
維持、脳神経の働きを良くしたり、脂溶性ビタミンA、D、E、K、の
吸収を助けます。
食物に脂肪が含まれていると舌に甘く感じるので、嗜好性を高める
働きもあります。
脂肪酸の中で体に最も重要とされるものを必須脂肪酸と呼んでいます。
必須脂肪酸には、リノール酸(オメガ−6)、リノレン酸(オメガ−3)、
アラキドン酸(オメガ−6)の3種類があります。
必須脂肪酸のうちの1つであるリノール酸は、すべての動物が必要と
するものですがほとんどの植物油、動物性脂肪の中に含まれています。
リノール酸は皮膚の乾燥を防ぎ、毛の艶を良くします。皮膚から汗に
なって体の外へでていく水分のコントロールに必要なプロスタグラディン
という成分をつくりだすからです。
犬や猫はどちらも、体内でリノール酸をリノレン酸に変換することが
出来ます。ただし猫の場合は、犬のようにリノレン酸からアラキドン酸を
つくることが出来ないので、猫の食事にはアラキドン酸が必ず含まれて
いなければなりません。つまり、犬にとってはリノール酸が必須脂肪酸
であり、猫にとってはリノール酸とアラキドン酸が必須脂肪酸となります。
アラキドン酸は、動物性の脂肪に多く含まれていますので、猫の肉食は
理にかなっているといえます。 |
脂質の過剰 |
脂肪を多く取りすぎると、消化機能を越える量になり、便が脂肪便(黒くて
臭く強い下痢状)になってしまいます。主に肥満の原因になってしまいます。
多量の高脂肪食を急に与えると急性すい炎をひきおこす原因になったり、
長期間にわたり脂肪を過剰に与えすぎると、肝臓を傷めることにもなります。 |
脂質の不足 |
発育不足や皮膚、被毛の艶が悪くなります。
また免疫力の低下も招きます。 |
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