種の同定


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【同定】

 通常[同定]とは,種(あるいは上位分類群)に確固とした範囲が認められていて,問題の個体がその種に含まれるかどうか認めることをいいます.

 しかし[同定(identification)]という語自体はもっと即物的な意味を持っています.つまり[ある個体とある個体が同じだ]という事です.記載分類学的には,この標本を結ぶ同定の連鎖がタイプ標本にまでつながっている事が,その学名を使う事の根拠となるわけです.

 ツノヤハズの場合,この[同定の連鎖]で種の範囲を確定できます.同種個体の集合としての「種」の範囲を確定する作業は,直接同種関係によって結ばれている個体のネットワークの範囲を探し出す作業になります.全個体について「同種」個体の木探索を繰り返すだけで,これは実現できます.


図.「同種」のネットワークとして存在する2つの種

 現実の生物においては,1) 全個体について網羅的に探索することが困難である事,2) 個体間で○×式の「同種」をの定義がするのが困難である事のため,このような種概念の適用が多少困難です.いいかえれば,ツノヤハズ等においては,現実の生物以上に典型的な生物学的種が成立し,定義の厳密な適用が可能だといえます.


【同定の実践】

 DEME等ではファイル上に記載されている有限個の個体を網羅して,直接同種を木探索します.探索にかかった個体は同じ種として登録し,探索を終えた時点で,未登録の個体があればそれを出発点として次の種の探索を開始します.


図.木探索による同定

 具体的には,98版やDOS/V版では,個体群ファイルを一旦セーブしたうえで,[LUMP.EXE]や[LUMPV.EXE]を起動してファイルを読み込みます.Windows版やMacintosh版では[Identify]のボタンを押すだけで現在の個体群を同定できます.

 木探索ではどの個体から出発するかは結果に影響しません.98版の[LUMP.EXE]では便宜的にファイル上で最も前に記載されている個体を基準個体として,探索は後方から行います.[DEME.EXE]でファイルに書き込む際には北から順に記載していますので,最も北の未同定個体を基準に,南方から探索していくことになります.DOS/V版も同様です.Windows版やMacintosh版ではメモリ上の個体群を同様に処理します.これら基準個体の選定と探索の方向が逆なのはグラフィック表示の順序への配慮からです.

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