2000年特別企画 歴代パソコンでのリレー飼育

1999年5月:PowerBook145B


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 さて,今月からMacintoshです.このPowerBook145Bは”最低機種”です.日本では売られなかったPowerBook145という機種があり,それよりも下位の,白黒表示しかできないという意味の,バイナリの"B"が付いています.

 どういうタイミングだったか,廉価叩き売り状態だったので新品で買ってしまいました.使ってみるとキータッチは最悪.また ESC キーがスペースバーの横にあるとか,配置も常軌を逸していました.でも,そのころ,まだ跳梁跋扈していた自称エバンジェリストたちは「本当はこれが使い易いんだ」とかぬかしていましたね.

 メモリは買ったときに8MBにしてもらいました.あと色付きトラックボール3個入りが売っていたので買って黄色のにしました.手を置くところのモケモケしたシールとかも貼ってみました.しかし,けっきょくバシバシ入力するときには外付けのキーボードとマウスを繋げずにはいられませんでした.Macway のファンクションキー付きのキーボードの感じが良かったので,以後愛用しています.
 職場で移動用の入力機として使っていたとき,休みの日に床のワックス掛けがあり,本機のフタの部分にワックス液の飛沫がかかって傷が付いてしまいました,かわいそ〜.しかたなく傷の部分にモケモケのシールを貼ってごまかしています.
 これを買った直前に中古の Classic を買っていてそれのほうが断然使い易かったです.あとでClassicIIも買って,ただクラは人にあげてしまいました.

PowerBook145B

黄色球を装着したPowerBook145B

 で,これらの白黒 Macintosh で動くツノヤハズシリーズを作ろうとしました.HyperCard では無理そうなので QuickBASIC 1.0 for Macintosh なるもので格闘しました.同じ QuickBASIC でも DOS のとはぜんぜん違うので,まったく新たに書くことになり,出来上がってみるとかなり違ったモノができてしまいました.

 それが MccDEME というシステム上で繁殖するサルヤハズです.ツノヤハズの世界に新たにニッチの概念を追加して,同じ地点に競合しない複数個体が同居出来るようにしました.
 これにより,異所的種分化後に二次的に共存する過程や,非常に単純ながら複数種からなる生態系みたいなものができ,生態系どうしのせめぎあいが見られたりしました.けっこうおもしろかったんですが,なにしろ白黒なものでわかりにくいのが難点でした.

 MccDEME のシステムの機能自体は他の DEME シリーズの上位互換なので,設定を落としてやることで飼育はできます.ただ複雑化した分,データを小さくするためにケチッた部分がありました.このため,前回まで DEME システム上で飼ってきた個体群を, MccDEME システム上に”移住”させるのが一苦労です.というのは後者では;1)形質空間の次元が一つ多い,2)形質空間の変域が狭い,のです.

表1.DEMEとMccDEMEの形質区間のちがい
システムX座標Y座標ニッチ行動形態生理生態胸色翅色
DEME1-401-601-20-1270-2550-1270-150-15
MccDEME1-401-600-31-20-630-630-630-150-150-15

 2つの問題のうち,1のほうは,画一的に適当な値を与えてやって,それが変化しない設定にすれば良いのですが,2については形質状態に何等かの細工を施す必要があります.幸いなことに,300,000世代は全変域にわたって散らばった状態ではなかったので,つまり分布がまとまった状態だったので,一律に下駄を脱がせて(定数を引いて)形質分布が中央にくるようにしました.
 ファイル上で圧縮の仕方が異なっているので Excel 上でこちょこちょと数字の細工をする必要がありました.それと ResEdit でクリエータとかタイプをスリ替えたりです.地図データの変換はこのすり替えだけで完了す.思えば恐ろしい ResEdit も QB10forMac で教わったんです,シミジミ.

表2.DEMEファイルの数値から形質状態への展開およびMccDEME上の形質状態への変換
ファイル数値数値数値数値数値
代数ABCDE
153111866221783
形質X座標Y座標ニッチ行動形態生理生態胸色翅色
代数ABCint(D/256)mod(D,256)int(E/256)int((mod(E,256)/16)mod(E,16)
15311722308517
補正値(0)-64-192-64(0)
15310183821017
生態形質状態は一律に0とする.生態で決まるニッチも一律に0となる.
性は1:♀,2:♂; int(数)は数の整数部分,mod(数1,数2)は数1の数2による剰余

表3.MccDEME上の形質状態のファイル用数値への圧縮
形質X座標Y座標ニッチ行動形態生理生態胸色翅色
代数KLint(Q/4)MNOPQRS
15310183821017
ファイル数値数値数値数値
代数KLint(Q/4)f(M,N,O,P,Q,R,S)
153101218007063
f(M,N,O,P,Q,R,S)=(((((((M*(-3)+4)*4*16+N)*256+(O*4))*16+P)*16+Q)*16+R)*16+S)
性は1:♀,2:♂; int(数)は数の整数部分,mod(数1,数2)は数1の数2による剰余

 移住したファイルを読み込んだ後,各高度の生存率,変異頻度,許容値,を元通り設定し(生態に関しては変異なしとし)念のためセーブしなおして,飼育を開始しました.このシステムでは生態に関して無駄な計算をすることになるので,結構時間がかかります.
 300,000世代目の状態を DEME のほうのシステムで形質分布図を描いてみました.同定したところ2種が認められました.念のために MccDEME でもやりましたが同じ分布図で,2種でした.あたりまえではありますが,一応安心.

 

移住した300,000世代目

 次の ClassicII がもっと遅そうなので,というか,超遅そうなので,この PowerBook145B で 390,000世代まで飼育して,残りの10,000世代だけを任せることにしました.

 ...と考えていたんですが,切り替えの作業の都合で389,000世代でバトンタッチすることにしました.ええかげん.

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