関西テレビ「ぶっちゃけ!生タマゴン」での

片岡選手のファンファーレの歌詞(?)問題

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 片岡選手のファンファーレの歌詞(?)の問題が関西テレビの「ぶっちゃけ!生タマゴン」なる番組で二回にわたって取り上げられました.ここにその内容を要約しておきます.
 なお番組中では,「ファンファーレ」と「ヒッティングマーチ」の区分,ファンファーレの「メロディー」と「歌詞(?)」の区別がなされておらず,すべて「応援歌」という表現で片付けられていました.ここでもそのまま採録しています.
 なお画像の配列は,一部,放送の順序と異なっています.勝手にこんな頁にしたててごめんなさい.>生タマゴン御中

【11月29日放送分】  検証3「実家は桧風呂」か?
【12月6日放送分】  幻の応援歌公開
感想

【2003年11月29日放送分】


 ゲストで片岡が登場.終わったばかりの日本シリーズについての質問に対し,やはり不完全燃焼であると回答.


 番組レギュラーの金村は,これまで何度も片岡について取り上げ,起用訴え,主張,代弁してきていた.ときにかなり個人的なことにも言及している,実家の父母の事とか.この回は本人をまじえて,その真相を探る,というのが趣旨である.徹底検証だそうだ.


 で,久御山町の片岡家のレポートをするのは桑原征平アナ.



 金村が何度も俎上にのせていた片岡選手の父,片岡寛十郎さんの実態は? というのが[検証1].


 たしかに「片岡寛十郎」さんは立派な体格でええ味出してるオッチャンであった.片岡家の本家なので寛十郎とつけられた.歌舞伎役者みたいな名前には小学校のときは往生したのだそうだ.
 お母さんの晴美さんもにこやかなオバチャンであった.



 日ハム時代,片岡選手が打撃不振に陥ったとき,父の寛十郎さんが畑でバットを振っていたという話は本当か? というのが[検証2].


 寛十郎さんに聞くと,深刻に考えんと気楽に振ったらええのにな,ちう感じでスイングの格好したことはあるけどね,みたいな返事.で,番組としては無理矢理これも真実と認定.



 応援歌に♪実家は桧風呂♪,♪リフォーム♪と歌われているが,それは事実か? というのが[検証3].


 寛十郎さんによると,息子が建てたみたいに思っている人がいるが,19年前に自分が建てたものであるとの事.一部,片岡選手によってリフォームされた部分がある.


 リフォームした部分のサウナは桧製である.


 しかし,風呂はホーロー製である.
 したがって♪実家は桧風呂♪は事実ではない.



 その後,出演者によってディスカッション.全体としては,事実でないからあの応援歌はやめた方が良いのでは?という論調.でも♪サウナは桧風呂♪でええのではという意見も出る.結論とかは特になし.
 晴美さんが手間暇かけて焼いたオカキを試食.おいしいと結論.


【2003年12月6日放送分】


 応援歌の問題,片岡選手が契約更改のあと記者に訴え,記事になった.片岡選手自身はあの応援歌をやめて欲しいといっている.その意向を実現するため当番組も協力する.今回は応援歌を徹底解明するぞ,というのが趣旨.
 レポーターは中田なおき氏.



 まず一般の阪神ファンはどう思っているのかを街頭で調査.


 「(あの手のシャレは)アリですね.あれじゃないといやです.」と言い切るニイチャン,「おもしろい」という女子,「(桧風呂が事実でないなら,歌詞に合わせて実物の方を)桧風呂に変えたらどうか」とまで言う理事長が登場.
 番組としては,阪神ファンはあの応援歌を気に入っていると結論.


 次にライトスタンドで指揮をとってる「阪神タイガース私設応援団(ジャージ)」の嶋野さんに事情を聞きにいくと...


 選手ごとの応援方法をシーズンのはじめに決めているが,アレは自分たちが考えたものではない,と言明.日ハム時代からあったという説明である.


 あの歌詞では応援になってないという感想.



 自分だけではなく,応援団はアレを歌ってないと断言.


 で,応援団が決めている幻の応援歌が存在し...



♪小さな頃からの 夢を叶えるため♪
♪やって来た やって来た 我らが篤史♪

♪関西魂見せてくれ 熱く燃えて吠えろ♪
♪今新たチャレンジ 片岡篤史♪

♪かっ飛ばせー片岡!!♪
mpeg
694kb
41秒

 応援団は口に出してそう歌ってはいないが,これを「心の中で口ずさんでいた」のだそうだ.周囲からは♪リフォーム♪ばかり聞こえていた.ただし,ずっと♪やって来た♪のほうを歌っていたお客さんもいたが...という説明.





 という事で,番組的には♪やって来た♪の方を推すが,実際来季どうなるかはわからない,というのが結論.
 太平サブロー氏がメロディーが同じで歌詞が違うのだと注釈.



 中田氏の補足説明.実家リフォームの時期は日ハム時代の1998年のオフである(応援歌はこの話題を歌ったものであり,この頃に作られたのだろうという文脈).
 なお,この98年ときプロ野球ニュースで実家を取材し,リフォームを報じたのは金村であったという.




【感想】

 以上,番組の内容に則して記述しましたが.筑前屋の感想を書いておきましょう.結論から言えば,本質的にはまったく的外れな取上げ方だと思います.しかし実際問題としてマスコミがやることはこの程度で,結果的に問題のある歌詞(?)が是正されるための力となった点では評価すべきだろうと思います.

 多くの人を対象にして作られるテレビ番組ですから,問題の捉え方が通俗的なのは仕方がない事です.視点は「応援する立場」ではなく「楽しむ立場」,「興味本位」からのものです.応援する体(テイ)でも,じつは「応援するという行為を楽しむ立場」でしかありません.責めるべきものではないでしょう.

 的外れというのは,たとえば「『桧風呂』は事実と異なるから不適当」という論理を持ち出している点です.もし桧風呂が事実だったら応援歌として適当なのでしょうか? 実家へ行って事実を確かめる事に何の意味があるのでしょうか? 冗談ぽい歌詞だからこそ,冗談に乗った形をとってわざわざ現場を見に行ってしまう,という乗りツッコミのつもりでしょうか?
 応援団の権威を借りる形で,こっちにしましょう,と,やる論法も的外れです.自主的な判断能力がないから,こんな事が流行るんです.
 問題なのは,ああいう,応援でもなんでもないことを応援のせいにしてやってしまう構造であって,この応援歌をどっちにするかといった問題ではないのです.禁止されている球場で風船を上げ,橋からドブに飛び込む.チームを応援しているといいながら,実はアナーキーの口実にチームを利用し,チームに迷惑までかけてしまう,そういう行為が頻発し,マスコミもそれを煽っています.そして自分では判断できず周囲の大多数に責任転嫁してしまう態度が蔓延しています.
 興味を持つべきは,あんなモノを面白いと思ってしまう人がウヨウヨ出てくる構造です.なのに,それに全然踏み込めてないのです.2002年の初期に広めようと努力した人たちがいて,ネットでの動きも活発でした.「片岡選手のファンファーレのところ,みんな唄ってるようですけど,歌詞を教えてください」掲示板等にも書き込みがよくみられました(ログの一部を保存しています).02年は藤本をオールスターに推薦し,本当に出そうな03年は川崎投手に投票し...そういう連中に操られ,操られている事自体に気づかないのです.アホな阪神ファンがどう操られ,どう笑われているか,それをほじくリ出せばけっこうなエンターテインメントになるのに.視聴者は「けしからん」とかいいつつ顰蹙しつつ楽しんで見てくれると思いますがねぇ.

 補足しておきますと,頁頭にも書いたように,この番組では「ファンファーレ」(打席に入るとき一回だけ演奏される)と「ヒッティングマーチ」(打席中繰り返して演奏される)を区別せず,単に「応援歌」と呼んでいます.またファンファーレの「メロディー」と,それに載せて唱える「歌詞」が混同されています.「幻の応援歌」として紹介されたものも,問題の「応援歌」と同じメロディーであり,この事を番組中で太平サブローが正しく指摘しています.番組で追求の対象となっているのは,あきらかに「ファンファーレの歌詞」であるのに,これを「応援歌」と呼んでいるため,問題の所在が不明瞭になっています.
 じっさい.わざわざ私設応援団に聞きに行っているにも関らず,彼らが何をやって,何をやっていなかったのかを,中田氏は正しく伝えていません.私設はファンファーレを吹奏していなかったのか? その歌詞では唄っていなかったのか? また日ハム時代からあったのはメロディーだけなのか? 問題の歌詞もなのか? まったく判然としないのです.
 正確な事実関係を調べよう,それを伝えようという姿勢がまったく感じられません.番組の制作態度として,あるいは中田氏の心構えとして,「たかが野球の応援歌」,「阪神ファンの間で変な事が流行してる,しょせんオチャラケ阪神ネタ」くらいの認識なのではないかと思います.
 うがった見方をすれば,責任の所在をぼかすために,わざと漠然とした「応援歌」との表現を採っているのではないかとさえ思えてきます.

 多くの阪神ファンが知っているように,あのファンファーレのメロディーは日ハム時代からあり,片岡選手がタイガースに移籍した当初から私設応援団が吹奏しています.問題の歌詞も02年リーグ戦開幕直後から一部のファンに感染しています.また「幻の応援歌」とされたもの歌詞は02年の中盤ごろに起源不明のまま広く知られるようになったもので,私設が正規採用したのは03年の9月です.
 実際にはこの問題に関して私設応援団は指導力を発揮しませんでした.応援団のなかには撲滅に努める人もいました.しかし応援団全体としては(内部に推進派がいたたためか)傍観していたにすぎません.放置というより容認にも取れる態度でした.多くのファンがそれを見ています.また,心有るファンの中には「幻の応援歌」のほうを支持し,熱心に懸命に普及に努めた人も少なくありませんでした.しかし悲しいかな起源不明では説得力に欠けたのです.もっと早い時期に私設応援団が正規採用し権威付けしていたら,こんな事態にはならなかったと思います.

 なお今回「幻の応援歌」として示されたものは;
ファンファーレ:♪夢を掴むため♪→♪夢を叶えるため♪
ヒッティングマーチ:♪日々新たチャレンジ♪→♪今新たチャレンジ♪
と,なぜか微妙に変化しています.ご注目ください.

 出現〜普及定着の経緯に関していえば,番組側は,ぼんやり浮かび上がる過程として;
1)片岡選手が実家をリフォームして話題になった
2)それを唄ったのが問題の歌詞である
3)それがタイガース入団後も唄われている
というストーリーを提示しています.ぼんやり提示しておきながら細かな詰めを行っていません.タイガースの応援団から「日ハム時代からあった」と聞いただけ(これも,番組側はメロディーだけなのか,問題の歌詞もなのかを明確にしていない)で,日ハムの応援団には聞きに行っていないのです.
 片岡選手はあれ(あの歌詞)をやめてほしいと言っているのです.日ハム時代からあったとして,一部の日ハムファンが冗談でやってただけなのか,日ハム応援団が組織的にやっていたのか,はっきりしないと日ハム応援団の名誉にかかわると思います.それをほったらかしです.そんな状態で「徹底解明」のタイトルをつけています,関西テレビは.

 阪神タイガース私設応援団,ああいった形で断言して済ませてしまうのはトカゲのシッポ切りっぽいですが,選手自身に言われてやっと動き出したようです.浜スタ風船禁止遵守と同じ流れで,結果的には良い傾向ではあると思います.
 阪神ファンとして取材され,あのようなコメントを撮られ公開された人たち(編集によって発言をつぎはぎされているのかもしれませんが),恥を知り,一生後悔してください.ドブに飛び込んで「盛り上がってるからええやん」と言うてた連中と同じですよ.


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