六甲颪のページ
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阪神タイガースの歌
佐藤惣之助作詞
古関裕而作曲
六甲颪に颯爽と
蒼天翔ける日輪の
青春の覇気美しく
輝く我が名ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ
闘志溌剌起つや今
熱血既に敵を衝く
獣王の意気高らかに
無敵の我等ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ
鉄腕強打幾千度び
鍛えてこゝに甲子園
勝利に燃ゆる栄冠は
輝く我等ぞ阪神タイガース
オウオウオウオウ阪神タイガース
フレフレフレフレ
六甲颪(メガホンビート版)
tigers.mid
MIDI データ 筑前屋謹製
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通称[六甲颪]
球団が創設されたのが昭和10年末,結成試合は翌11年4月に行わたそうです.[阪神タイガースの歌]は[タイガース]という名称,虎の顔のマークとともにこの頃から連綿と愛用され続けている由緒正しいものです.(当初の[大阪タイガース]が[阪神タイガース]に変わったのは昭和36年の事です.)
結成時のポスターにも入っている虎の顔
正式名が[阪神タイガースの歌]であり[六甲颪]は通称です.この通称もまたすばらしいものです.
球場では私設応援団等が[国歌斉唱!][ご起立,脱帽の上ご協力ください.]などと発声します.帽子をとってきちんと歌いましょう.また,ふだんから愛唱,熱唱,激唱,爆唱するのはいいですが,あまりおろそかな場面で歌うのはやめましょう.六甲颪はタイガースの戦いを応援し,称え,ともに喜ぶために歌うものです.
[獣王無敵]そして[栄冠]
六甲颪は2番も3番もすばらしい詞がついており,それぞれ意味をふまえて歌われます.甲子園球場での斉唱パターンはおよそ下記の通りで,特に5回裏に歌われる2番は勇壮なものがあります.
- タイガースの守備練習開始時(ふつう試合開始40分前)
場内放送により3番まで.
- 5回裏終了の試合成立後(グランド整備時)
私設応援団により,リードまたは同点のとき2番(熱血既に敵を衝く)まで,リードされているときは1番のみ.
- 敵投手KO時
私設応援団により[さよなら誰々][蛍の光]に続いて1番のみ.
- 勝利後
場内放送により3番(勝利に燃ゆる栄冠)まで.あとは応援団,近くの連中と適当にやってください.
阪神の[ん]問題
六甲颪に,実は2派あって,抗争を繰り広げているのをご存知ですか?
一般に流布している楽譜にも2通りあり,パッと見ぃでは,[フラットが4つあるやつ](変イ長調)と,[シャープが一つのやつ](ト長調)の違いとして区別できます.以下,A型,B型と呼びます.手元に楽譜があれば見てみてください.
基本的には高さがちょと違う,伸ばし方がちがう,だけのようなのですが...
[はんし〜ん,たいが〜す]の部分,A型(上)とB型(下)の違い
よく見ると[輝く我が名ぞはんし〜ん,たいが〜す]の[はん]の[ん]が半音下がるかどうか,ここが違います.実際に注意深く聞いてみれば一発でわかります.
まぁ,球場ではそんな細かい事は気にしないというか,仮に精密な歌唱力があったとしても,ちゃんと発揮されないでしょうから,意識しないとB型になると思います.
ただ,このB型が正規の楽譜として採用されていることがあり,唐渡吉則氏(ミスター・トラ)が絡んでいるような企画,主に毎日放送系のものがたいたいコレです.
オマリーの六甲颪はそのつもりで聞かないと六甲颪だとわからない程の超人的(!?)な出来なのですが,[はん]の部分だけははっきりしていて,ちゃんとB型と判別できます.(英訳六甲颪のいろいろ)
一方,このようないいかげんな歌い方に対して,キダ・タロー氏(なにわのモーツァルト)による批判が,機会あるごとに,かなり執拗に繰り返されています.
グリーンウェルがキダ氏に六甲颪を教わっている事がテレビで報道されたことがありました.この時も[ん]の部分を半音下げて歌っている場面を選んでオンエアしているようでした.
また曲紹介の際,枕詞的に[佐藤惣之助作詞,古関裕而作曲,変イ長調〜]などと付け足すことで,暗にA型こそ正統であることを強調されることがあります.このような批判は朝日放送系でなされることが多いようです.
コピーを繰り返した古そうな楽譜はA型です.おそらくA型が正統でB型は略式だと思います.だとするとA型支持派の批判自体は正当なものかもしれません.
しかし[まともな六甲颪も歌えんで,お前ほんまに阪神ファンか?]みたいに,ファン同士がケチをつけあう結果にもなりかねません.そういう事にならないよう注意する必要があります.この問題の存在を知ったうえで寛容であるべきでしょう.
闘志溌剌の[剌]問題
[トウシハツラツ]は[闘志溌剌]と書きますがこれの最後の[剌]の字がよく[刺]と誤植されます.[刺]の音読みは[シ]であり[ラツ]とは読めません.[溌刺]という語は存在しません.
溌剌の[剌]と刺すの[刺]
この手の間違いは安易な複写により活字から活字へと伝染するらしく,一時は印刷物の大半が間違っていた時期もありました.最近はやや減ってきましたが,ご注意ください.
(この問題については阪田三吉氏のご教示を元にしました)
...と,安心していたら1999年,甲子園で入場時に配られるスコア&メンバー表の最後に載っている六甲颪で,[剌]の字が何と脱字です!対戦相手5球団とも同様にぬけていました.担当者は[この字ぃ違ごてるわ,あとで入れなおそ.]て思ってて忘れたんでしょうか? だとすると惜しかった.
このメンバー表は開幕戦から配られる前期版とオールスター以後に配られる後期版があるので.後期版では修正されるかと思っていたのですが,後期版でもすべて脱字のままでした.
さらに2000年のはもっと酷く,[闘志溌剌]のはずが[闘志泊溌]となっています.どういうことなんでしょうか?
いっぽう阪神グループ?が出してて,阪神電車の駅などでもらえる[トラ★トラclub]は1999年版までは[刺]と間違っていました.ところが2000年版では何と(さんずい付きの)[溂]になりました([ハツラツ]の綴りとしては[溌剌]も[溌溂]も正しく,字義的には後者のほうが適切なのでしょうが).2001年も同じです...
[おろし/颪]問題
通称の綴り方,つまり[おろし]か[颪]かについてですが,元の歌詞でも[六甲颪に颯爽と]と漢字になってますので,ひらがなで[六甲おろし]とするより漢字で[六甲颪]とするほうに少しだけ正当性があるように思います.
文字コードの相違のためだと思いますが,検索エンジンでは[颪]ではだめです.たまにヒットすることがありますが,どこに[颪]があるかわからなかったりします.(Unicode: 98AA亂, S-Jis: E943颪, EUC: F1A4、)
また,読みやすいように配慮してひらがなを使う人もいるのでしょうが,個人的な感じとしては[おろし]では何かマヌケな感じがします.[阪神ファンやったら颪くらい書けろよ]とか思います.
毎日,世界中で[颪]という文字を書いたり打ったりしている人の半分以上は阪神ファンでしょう.[おろし]のほうは料理関係者が大半ではないでしょうか?
まだでしたら,この機会に単語登録しましょう.
ついでにタイガースの[ス]問題
英語の"tiger"の複数形が"tigers"で,その発音をカタカナ表記する場合[タイガース]よりは[タイガーズ]とするのが適当です.Detroit の Tigers は,カタカナでは[タイガーズ]と書くべきでしょう.
ただ[阪神タイガース]なる名称の場合,(もちろん野球のチームですから英語の要素も取り入れていますが)それ自体日本語の環境下で作られた日本語の固有名詞ですから英語の発音に全面的に従う必要はありません.むしろ日本語として美しく,あるいは勇ましく,発音しやすい事が重要でしょう.
さらに[オウオウ大阪]説
現行の歌詞では[オウオウオウオウ阪神タイガース]ですが,昔は[オウオウオウオウ大阪タイガース]でした.この事に関して[大阪につながるからこそオウオウなのである]と主張される方があります.そして[ハァハァ阪神タイガースにすべきだ]というオチにつながります.このオチには[いややったら大阪タイガースにもどせ]という思いも少し込められています.これが[オウオウ大阪]説です.
もちろんこれは半ば冗談であり,とりたてて反駁すべきものではないと思いますが,俗説の一つと言わざるを得ません.
作詞者(佐藤惣之助氏)自身が[大阪につながるためにオウオウにした]と明言された形跡はありません.そもそも日本語で[おぅ]は[あぁ]と同じく割とポピュラーな感嘆詞ではないでしょうか? [あぁ]は(時間的,距離的に)遠い物事に対する感嘆,[おぅ]は近い物事に対する感嘆です.目の前で繰り広げられるタイガースの活躍に対して[おぅ]という声を発するのはごく自然ではないでしょうか?
この説は[オウオウ大阪タイガース]に慣れ親しんだ方々の感覚から自然に起こった説だろうと思います.おそらく変更された頃には[オウオウ阪神タイガース]とのつながりに違和感を感じる方々は多かったはずです.[球団名が変わったからというて,六甲颪の歌詞まで変える必要はない]そういう思いがあったのでしょう.
この説を耳にした際には多くの先輩がタイガースを応援し,六甲颪が歌い継がれてきたことを感謝すべきです.
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筑前屋翫理堂
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