昆虫学会67回大会講演要旨

神戸大学理学部(神戸)

2007年9月


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【ツノヤハズ飛行計画】

 [ツノヤハズ]は両性生殖個体群の個体ベースモデルであり,生物学的種概念がよく適用でき,適応の概念なしに,多くの種現象(系列推移,異所的,側所的種分化,交雑帯,絶滅)が再現できる(つまり非常にマイアー的な人工生命である).これに対して今回,移動および地域適応の概念の導入(ルール拡張)を試みた.移動の有無は個体にとっては[代替地の獲得]と[生存の危険]のトレードオフであるが,巨視的には[遺伝的変異の撹拌][分布拠点の開発]などの効果をもたらし,超個体的選択が働く可能性がある.

 拡張ルールでは個体の遺伝形質を追加し,P)移動性と地域適応性は個体ごとに遺伝(交雑,突然変異),Q)移動の生起アルゴリズムは系全体で共通とし,R)移動の効果とリスクおよび,S)地域適応性のメリットは系全体で一定とした.現実の生物群では,A)大きなコストと引き換えに長距離移動能力を確保しているものから,B)移動の可能性をほぼ放棄しているもの,C)近縁群(同種)内にAB両者が混在するものがある.ここでは合理的なQの設定を模索するとともに,Rに関してCの状況のシミュレートに適した値を探索した.

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