通過すべき地域が生存困難である場合,その距離は大きく影響すると考えられます.一方,通過地域が比較的好適(安定的には生存可能でない)な場合,距離はさほど重要ではないでしょう.
ここでは後者,つまり比較的好適な地域が,かなり遠い距離を隔てる障壁となる場合に,その地域の生存率と通過の可能性の関係について,一連の実験を行いました.各種の実験を行う際に設定のための基礎となります.
図のように通過地域Xを隔てて3ヶ所の生息地,A, B, Cが形成されうる状況で,Aのみに初期個体群を配置し,Xの生存率をさまざま(0.46〜0.80)に変化させました.その結果10,000世代までにBやCの生息地に定着できるかどうかを観察しました.
その結果,グラフのようになりました.大雑把にいって,0.5程度の生存率が続く障壁でも10,000世代に一回程度は通過の可能性があり,0.6程度であれば1,000世代以内に確実に通過できます.