通過の条件


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 ある好適な生息地から,多少困難な場所を通過して他の生息地に到達する可能性,換言すればある地域が障壁として機能する可能性について考えます.この可能性は,通過すべき距離や,通過地域の好適さの程度によって決まるでしょう.

 通過すべき地域が生存困難である場合,その距離は大きく影響すると考えられます.一方,通過地域が比較的好適(安定的には生存可能でない)な場合,距離はさほど重要ではないでしょう.

 ここでは後者,つまり比較的好適な地域が,かなり遠い距離を隔てる障壁となる場合に,その地域の生存率と通過の可能性の関係について,一連の実験を行いました.各種の実験を行う際に設定のための基礎となります.


図.高度0の生存率0.57の場合,低地Xを通過してB, Cに分布を拡げた

 図のように通過地域Xを隔てて3ヶ所の生息地,A, B, Cが形成されうる状況で,Aのみに初期個体群を配置し,Xの生存率をさまざま(0.46〜0.80)に変化させました.その結果10,000世代までにBやCの生息地に定着できるかどうかを観察しました.

 その結果,グラフのようになりました.大雑把にいって,0.5程度の生存率が続く障壁でも10,000世代に一回程度は通過の可能性があり,0.6程度であれば1,000世代以内に確実に通過できます.


図.高度0の生存率を変化させた場合の分布拡大の成否

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