大阪ハーモニーブラス(OHB)のオータム・コンサートは、ブラス・バンドのために作曲された、シリアスな音楽を中心に毎回プログラミングしています。
(OHBの合奏スタイルは英国を起源としており、ブリティッシュ・スタイルの
ブラス・バンドと呼称されることもあります。)
今回はコンテンポラリー・ミュージック(現代音楽)とオリジナル・クラシック(古典)の分野からそれぞれ選曲されています。1曲目のマーチ、『グレイス・アンド・グランジュアー』は京都出身で現在、英国ソルフォード大学に留学中の内田佐智の作品です。次にカナダの作曲家、カルヴァートの手による讃美歌、オーストラリアのコードによるコルネットのショウ・ピースと伝統的なスタイルの曲が続きます。そして、今回のメインのひとつである、ダーロル・バリーの『大阪のための音楽』は、今年1月にOHBがバリーの『テューバのための即興曲』を演奏した事が縁になって、作曲者から
直接楽譜の贈呈を受け、このコンサートが世界初演となります。
休憩をはさんだ後半は、近年意欲的な創作活動が注目されている、英国の
エレビーによる『オヴェイション』で幕を開けます。続いてはこれも近年、
『ハリスンの夢』などの作品で世界中から注目を浴びている、英国の
グレイアムの初期の作品になる『ブリランテ』でユーフォニアム・デュオが
フィーチャーされます。そして今回のメインは、エルガーの秘曲『セヴァーン
組曲 作品87』。彼の代表作ではありませんが、実直さ、厳格さといった性格
が表された格調高く、味わい深い曲です。エルガー唯一のブラス・バンド曲で、
日本では合奏体がポピュラーでないことも手伝ってか、オリジナルの姿で演奏
されることは少なく、今回の演奏(1996年改訂版)は極めて貴重なものと言
えます。
ブラス・バンド・ミュージックを深く味わっていただける、そして何よりも聴
いて楽しいコンサートになればと願っております。皆さまの御来場をお待ち申
し上げております。