吸血鬼ハンター”D”

原作/菊池秀行

 辺境地区の一小村の街道に少女は黒い鞭を手にしてたたずんでいた。通りかかる旅のハンターに戦いを挑むために。父親仕込みの腕に覚えはある。自分を倒せるハンターなら、吸血鬼に噛まれた喉の傷痕を消してくれるかもしれない。一度”貴族の口づけ”を受けたものは,その吸血鬼を倒さぬ限り,永久に呪われた存在になる。少女──ドリスは、吸血鬼ハンターを探していたのだ。西暦12090年,卓抜した科学力を駆使して人類の上に君臨した吸血鬼は,種としての滅びの時を迎えても,なお人類の畏怖の対象であり,吸血鬼ハンターは最高の技を持つ者に限られた。そして、ドリスがついに出会った美貌の青年ハンターは,だが冷たい口調でこう尋ねた。《おれはダンピールだ。それでよければ》

〜ソノラマ文庫より

※ダンピール:吸血鬼と人間の間に生まれた子供。


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