キーボード講座●第9回  講師:小室哲哉

分数コード!?数学じゃないよ


 寒さに負けず、みんながんばってるかな。この講座も、いよいよ実践的なものに入って来ました。あせらず、ゆっくり、じっくり、楽しみながらチャレンジして下さいね。要望や質問も待ってます。

 今日は。今年に入って、皆にキーボードをオシャレに弾きこなしてもらいたい、という願いを持って頑張るからね。まだ2月。あと10カ月もあれば、もう君は小室哲哉を超える!登尚根木をも、超える!


これを知って音楽人生が変わった

 と、いう訳で、今月は久し振りに音楽的な、しっかりとした事を勉強しよう。前々から言っていた、あの分数コードというやつです。えーと、多分15のコードを君たちは覚えていてくれますね。このコードからさらに進歩して、例えばマイナー7thとかメジャー7thとか、いろいろ覚えなきゃいけないコードって出てくるんだ。それをね、覚えなくてもその15のコードをうまく組み合わせると、難しいコードも簡単に作れちゃうんですねー。これは、すごいことだと思わない?もちろん、正確なコードを弾かなきゃいけない時っていうのは、このやり方ではちょっとニュアンスが違っちゃうんだけれど。今のヒット曲も含め、洋、邦楽曲のかっこいい曲を構成しているコードは、ほとんどこれからやる簡単なコードの組み合わせで出来ているんだよ。これを僕たちは省略コードとか分数コードと呼んでいます。

 さて、この原稿は広尾(六本木の近く)のアンナミラーズという所で書いています。僕の席の前には、木根君(TM NETWORKの同じ仲間)がケーキを食べています。ちょっと木根君に、分数コードの事について、コメントをもらいましょう。

「そうですネ〜。僕が初めて彼に出会った時、目の前が限りなく広がって行くような、今まで味わった事のない、音の広がりを感じました。それまでは、両手で同じルートを弾いていたんです。それからというものは、僕の右手と左手が、美しいバランスをとるようになったのです。ちょっとしたキッカケで、僕の音楽人生も変わりました。分数コードさん、ありがとう」(木根尚登)


例題曲だよ

 さて、本題ですがピアノの場合、単純に今お話しをしましたリリースをつける(いわゆるダンパーペダルを踏む)と、ある程度うまく聴こえるのです。譜1をゆっくり手の順番通り弾いてみて下さい。そう!! ダンパーペダルはね、踏みっぱなし!!(クラシックの先生、ゴメンね)これは、今回の曲のイントロだよ。DX-7の人たちとかは、ペダル使わなくていいんだ。(ほんとはエコー・マシン系をつかいたいけど)いいかな?ここまでは何とかできたかな?

 ハイ次に、メトロノームを70〜80の好きなところに合わせて、リズム・マシンとかある人は大体スローな感じのテンポを決めて、まずコードを弾きましょう。1小節にねコードが2つずつ入るんだ。場所によっては3つ入るけど、まあだいじょうぶでしょう。譜2を見ましょう。さて、もうこれ以上簡単には出来ないなぁーというくらいの省略アレンジですね。えーと、まず2小節目の1 Em on Bというのがありますが、これは来月でもお話ししようと思っていたのですが、あの有名な“分数コード”であります。要するに、右手のコードを構成している。一度、この世界に入ると二度と戻れないという、魅惑の響きです。ここでは右手はEmというコードを弾き、(11月号だよ!!)左手はなんとシの音。つまり、本来ならBというコードに付属するものなのですが、あえてEmに合わせてしまう訳です。でも、簡単でしょ?“分数コード”という言葉、覚えましょーね。さて、ずーといって3段目の♪(海里註:4分音符(MACの記号に8分音符しかないので))というのはですね。♪(海里註:4分音符)1個でコードを弾くという意味があるのです。Cって書いてあって♪(海里註:4分音符)のマークがあればドミソを4分音符で弾く訳。♪(海里註:2分音符)って白玉の大きい奴は、2分音符でコードを弾く訳。わかりますね。えーと、ほんとはもっとむずかしいコード使ってるんだけれど、覚えた15個ではこんな感じになるのね。原曲は、DのKeyみたいだね。原曲のKeyに転調できたらすごいよ。頑張ってみてね。あと、全部4分音符が基本だけど、イントロの(譜1)の3〜4小節目の様なチャンチャンって感じの先に、ひとさし指と中指で弾いて親指があとに来るパターンでもOKだよ。あー、ほんとそばで教えてあげられたら、もう1時間でバッチリなのに残念だなぁー。とにかく、負けないでやってみようね。


何とか弾けたかな

 今回のコード進行は、いろいろと使えるから「恋におちて」じゃなくてもはまっちゃう曲はたくさんあるよ。探してみたり自分でメロディー作ってみても楽しいだろうね。

 さて、今回、これでもやっぱり弾けない!!全然無理!!っていう人は、返事下さい!!あまりそういう人が多かったら、もう1回、初級の初日の出コースという企画をやりますから。もしも、それほど、絶望感のある人がいなかったら、もうちょっとグレードを上げますよー。いいですか?来月はアルペジオと分数コード。それと、学校の音楽のテストに絶対に役に立つ!!“調の見分け方”というすばらしいものをやります。期待して待っていて下さい。では、僕のバースデーは11月27日です。じゃね!!


●小室哲哉プロフィール

 1958年11月27日、東京生まれ。3才からバイオリンを始め、クラシックの英才教育を受け、17才からプロミュージシャンとして活動。上田正樹、バウワウ、大江千里など、様々なアーティストのレコーディングやライヴに参加。'84年、TM NETWORKというグループを率いて、現在の音楽シーンに登場。


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