TM NETWORK
VIDEO PANORAMA
TMネットワークのアーティスト・ビデオ『VISION FESTIVAL』が8月25日にいよいよ発売。総制作費☆千万円と、さすがゴージャス、さすがリッチの仕上がりを見せ、ビジュアル世代の申し子の看板をさらに磨いたって感もあるこの作品、はてさてその内容やいかに!?
なんだかTMネットワークって、やたらサイクルの速いアーティストって気がしませんか? この間ニュー・アルバムの発表だなんて騒いでたら、次は小室哲哉、逆襲の12インチを発売でしょ? で、一息つくヒマもなく今度は60分物のビデオを制作っていうんだからまいっちゃう。3人それぞれ、自らを動物にたとえて、ろば、かめ、ひつじ、なんて言ってるわりには、アーティストとしては相当にエネルギッシュな人たち。ついうっかり「この暑いのによくやるよ」なんて口をすべらせたら、「とーんでもない! だってこんな楽しいことさせてもらってんだもん、辛いことなんてあるわけないじゃない!」と猛反撃にあってしまいました。
ストーリーを小室君が担当、プロデュースもメンバー自身がやってるという『VISION FESTIVAL』。エバるほど楽しい作業が一体どんなものなのか、Tell me please なのだった。
--内容をまず……。
小室 TMの今までの道のりを簡単にSF仕立てにしたような感じで、「1974」から始まって、パルコのライブ、新しいアルバムから「アクシデント」「ドラゴン・ザ・フェスティバル」、あと今までLPに入れていない3曲が収録されてます。
--未発表曲?
木根 いや、ライブではやってました。--でもファンは必ず買わなくちゃいけないという仕組みになっている。(笑)
小室 そうそう。
--ストーリーっていうのは?
小室 ごくかいつまんで言っちゃうと、宇宙船からTMの分身を地球に送り込むんだけど気がつくといつのまにか自分達自身が地球にいるっていう……E.T.っぽいのね。
--じゃ、夢のあるような?
小室 うん。ストーリー自体は大したことないんだけど、カラフルだし、見て楽しめるものになってると思います。
--演技力は要求された?
木根 いえぜんぜん。(笑)
小室 監督が優れてるからセリフなしでつなげてるんです。(自分で言っちゃうあたり……)
--ボーッと立ってるだけだとか。(笑)
木根 そうそう、ボーッと立ってヒョロッと地球に降りてくる。
--ハハハ、ウソばっかし!
小室 意外と近いです。(笑)
--撮影中に苦労したこととかある?
宇都宮 僕はえぇ……スタジオの中でNASAというか、ウルトラマンというか、空気を通さないジャンプスーツで4時間たえたっていうのが……。
--暑さでヘロヘロ?
宇都宮 そう、それで歌っちゃったりするわけ。(笑)
木根 そうね。
--ロケとか行ったんでしょ?
木根 長野県! 宇宙船から農村へいきなり降りてくるという、このとんでもないギャップが楽しさをかもし出しましたね。(笑)
宇都宮 しかも3人のそのときの衣裳とメイクがかなりトンでて、あのシーンはいろんな見方ができますね。(笑)
--やっぱり映像はTMにとって、どうしても大切なもの?
小室 うん、50%。音が50%で映像が50%。100%を見てもらうのがライブって公式かな。
--でもそれじゃ逆に言っちゃうとレコードだけでは成立しない音楽ってことになるじゃない。
小室 それは僕たちもそう思ってて、でも人によっては音楽だけでいいって人もいるだろうし、それで満足させる自信もアーティストとして持ってるし。
--ふーん……たとえば将来、TMがビデオディスクのアーティストになる可能性は?
小室 世界的にいずれそうなると思うんですよね。で、僕たちっていうのはそれを信じてこういう大きなプロジェクトをやっているわけで、とにかく先駆者的存在になりたいっていうの、強いです。
……と、いうわけで、ビデオ制作にあたってのウレシ、タノシ。だけどマジメな姿勢をうかがうことのできたインタビュー、でした。終わったあとの雑談でいちばん盛り上がったのが、TMネットワークの贅沢三昧ぶりについて。考えてみれば、こんなに制作費を使うことのできるアーティストって、そうはいないわけで、「大丈夫なのー?」と、例によっての下世話な心配を私がすれば、木根くんは「働いて返します」だって。ワハハ、あんまりシンプルな答えなんで笑ってしまいましたが、小室くんによれば、「僕、ずっとミュージシャンになることに憧れてたからわかるんだけど、やっぱり夢を見させてあげられなきゃダメだとおもうの。ロー・コストでチープにっていうのもスタイルのひとつだけど、できることなら、ミュージシャンっていうのは、あんなに楽しいんだって子供たちが思えるような姿を見せてあげたいんだよね」と感動の言葉。
なるほどねぇ。こうなれば贅沢も美徳だわ、などと、やけに納得したりして。