色は三次元



 私たちが何かの色を人に伝えたり,記録したりするとき,単純な場合には一つの単語で言い表せます.「赤」とか「緑」とかです.微妙な色でも「黄土色」とか「海老茶色」とか「鶯色」とか「浅葱色」とかいった名前が付いていたりします.
 しかし,ぴったりの言葉がないけど正確に言いたい場合「何々色に近いけどもうちょっと黄色みが強くて鮮やかで,もっと暗い」と,だいたい三つの要素の組み合わせで言い表す事ができます.つまり色は『三次元』,空間の中の一点としてとらえることができるのです.


ちょい派手
→ちょい青
 
? こんな色 ?
 
ちょい黄←
ちょい地味
←色合い 
 鮮やかさ 

 明るさ→
ちょい明
 
? こんな色 ?
 

ちょい暗

 以下に三種類のアプレットを貼り付けました.企画展「ワンダフルカラー」(2002年開催)での展示品から改変したものです.
 すこしゲーム的な要素も盛り込んで,モデルの虫に似た色に調整するのが目標にしてありますが,正解にこだわる必要はありません.操作してみると色の三次元のいろいろを体感できると思います.


感覚的な色表現

 色の違いを言葉で表す場合,色相(色合い),彩度(鮮やかさ),明度(明るさ)を使うのがもっとも分かりやすいです.学校の美術室にある「色立体」もこの考え方で作られています.テレビの調整も,これに似た考え方で操作できます.
 下のアプレットのスライダーを動かすと,それぞれ「色相」,「彩度」,「明度」が調整され,色が変わります,下の虫にはこの色がついています.


色相・彩度・明度

 アプレットの上の虫はモデルです.下の虫の色をうまく調整して,モデルと同じ色にしてみましょう! まず彩度をあげて色をはっきりさせた上で色相を決め(24色あります),あとはじっくり彩度(16段階)や明度(16段階)を調整していくのがコツです.


インクの重ね刷り

 光の一部の波長が吸収されることによって反射する光に色が現れます.白い紙にインクで色を付けるときの理屈です.「シアン(青緑)」「黄色」「マゼンタ(赤紫)」の三色のインクを使います.インクが重なった部分は色がついて暗くなります.二重にぬられると色もつきますがさらに暗くなります.このような混合は,インクによる吸収によるマイナスの効果が総合して結果がでるので「減算混合」とか「減色混合」と呼ばれます.
 このアプレットではスクロールバーを操作するとインクの濃さが変わり,混ざった色も変わります.三色の長方形が重なった部分に注目.三色のインクを最大にすると真っ黒になります.(実際の印刷では別に黒インクも使用:CYMK方式)


減算混合

 やはり上の虫はモデル,下の虫の色は混ざった色がついています.下の虫の色を変えて,モデルと同じ色にしてみましょう! じゃまな色をどの程度減らすかがコツです(それぞれ256段階あります).


光の三原色

 色の違いは,光の三原色の強さの違いです.人間の眼は赤,緑,青の光を区別して感じ,その刺激の組み合わせとして色や明るさを見ています(だから色んな波長の混ざった白と三原色だけから合成された白を区別できません).人間が作っている機械も三原色にわけてとらえ,それらを合成して示すように作ってあります.カメラも液晶モニタもです.このような赤(red)緑(green)青(blue)の合成として色を指定するやり方は「RGB方式」とも呼ばれています.
 やはりスクロールバーを操作すると光の三原色,「赤」「緑」「青」の強さが変わり,合成された色も変わります.暗い所で三色の光を照らしてる感じです.このような色のできかたを「加算混合」とか「加色混合」と呼びます.三色が重なった部分に注目して下さい.三色とも最大にすると白になります.
 上の虫はモデル,下の虫の色は合成された色がついています.


加算混合

 これも下の虫の色を変えて,モデルと同じ色にしてみましょう! それぞれの光の強さは256段階あります.ぴったり当てるのは,かなり難しいと思います,というか,パソコンのモニタ上では色の違いがきちんと表示されるか保証できません.


和風な色名

鳥の子色
とりのこいろ
(243,235,213)
梔子色
くちなしいろ
(232,192,100)
憂金色
うこんいろ
(243,190,0)
青鈍
あおにび
(125,123,114)
青白橡
あおしらつるばみ
(126,134,99)
鶯色
うぐいすいろ
(126,125,83)
萌黄
もえぎ
(81,190,139)
木賊色
とくさいろ
(87,131,115)
浅葱色
あさぎいろ
(0,148,170)
薄縹
うすはなだ
(103,135,196)
瑠璃色
るりいろ
(50,97,169)
滅紫
めっし
(103,80,99)
鴇色
ときいろ
(253,177,195)
真赭
ますほ
(218,140,124)
臙脂色
えんじいろ
(181,75,82)
茜色
あかねいろ
(169,58,72)
葡萄色
えびいろ
(129,69,76)
朽葉色
くちばいろ
(246,186,117)
赤白橡
あかしらつるばみ
(215,178,151)
黄土色
おうどいろ
(198,152,78)
駱駝色
らくだいろ
(190,136,101)
空五倍子色
うつぶしいろ
(165,144,123)
銀煤竹
ぎんすずたけ
(147,118,83)
蝋色
ろういろ
(55,54,54)
和風な色名とR,G,Bの強度

 上の「加算混合」のアプレットで(R,G,B)の値にすると,それぞれの色になります.たとえば駱駝色の蝶とかに挑戦してみてください.


【連絡先】

兵庫県博 昆虫 沢田佳久
saw@nat-museum.sanda.hyogo.jp