操作マニュアル

ツノヤハズ等の飼い方


 このマニュアルは元々,[DEME](98版)用に書いたものを元に,他のシステムにも対応できるよう加筆したものです.

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飼育の基本

  1. とにかく動かしてみる(98版)
  2. とにかく動かしてみる(DOS/V版)
  3. とにかく動かしてみる(Windows版)
  4. とにかく動かしてみる(Macintosh版)

DOS版限定機能

  1. DOS版限定機能について
  2. 地形ファイルの編集(98版,DOS/V版)
  3. 実行環境ファイルの編集(98版,DOS/V版)

DOS版独立モジュール

  1. DOS版独立モジュールについて
  2. 98版での同定手順
  3. 98版での形質分布図参照手順


【とにかく動かしてみる(98版)】

 まず[DEME.EXE]を起動します.DOS のメニュ−で地図[*.TRR]を選びます.[JAPAN.TRR]がオススメです.《コマンドラインから起動する場合は >DEME \MAP\JAPAN.TRR のように,コマンドライン引数として地図ファイルのパス名ファイル名を指定して下さい.》

 地図が表示され,右下半分に[DEME.EXE]のメニュ−が出るまで待って下さい.左が全体画面,右上が観察画面です.全体画面の中央にある長方形の枠がカ−ソルです.枠の中心にヘックスを指定するためのもう一つのカ−ソルがあります.観察画面には枠カ−ソルの地域が拡大表示されていると考えて下さい.

 カ−ソルの移動はテンキ−かカ−ソルキ−でおこないます.移動中にスペ−スバ−を押すと,観察領域が書き換えられます.移動中にテンキ−の 5 を押すと,カ−ソルが観察領域に戻ります.

 シミュレ−ションの条件設定は,f・2 を押すと見ることができます.ごちゃごちゃした表が出るはずです.どれかのキ−を押すと元の画面にもどります.

 では,さっそく[ツノヤハズ]を播種してみましょう.まず,虫が住めそうな地域にカ−ソルを移動してくだい.地図が JAPAN でしたら北摂あたりが適当しょう.メニュ−にあるように,P が播種のコマンドです.必ず大文字で入力してください.

 播種コマンドに入ると,形質状態を尋ねてきます.配偶行動,交尾器,生理形質,色彩の順で指定して下さい.特に目的がなければ全部8でいいでしょう.答え終わると,文字が消えますのでしばらくお待ちください.カ−ソルの位置にツノヤハズがうじゃうじゃと現れます.色の指定が8であれば,全体が赤紫色です.

 もし虫が少ししか現れないまま,あるいは全く現れないままメニュ−が表示されたならば,その地域は虫の生存困難な所です.他に適当な土地を探して播種してみてください.

 さて,全体画面上でカ−ソルを目的の個体に置き,個体情報コマンド I で,個体の形質状態が右下に表示されます.例えば;

  ♂( 20 30) 64 128 64 8 8 てな具合いです.これは前から順に,性別,XY座標,配偶行動,交尾器形態,生理形質,前胸の色彩,翅鞘の色彩を示しています.この段階では全ての個体が播種の際に指定したとうりになっているはずです.ただし雌雄の違いはあります.観察画面に表示されるツノヤハズの背面図が♂と♀で違っているのがわかるでしょうか?

 いよいよ,世代を更新してみます.コマンド G で世代更新に入ります.現在の世代が表示され,何世代目まで更新するかを聞いてきます.現世代が 0 ですので,停止予約世代を 5 にしてみてください.5 を押してリタ−ンです.

 続いて[経過記録間隔]を聞いてきますが,ここでは不要なので何もいれずにリタ−ンです.ちなみに,この経過記録間隔は,たとえば[233 世代目から 1000 世代まで更新し,途中 100 世代(100 の倍数の世代)ごとに自動的にファイルに保存したい]といった場合に指定するものです.

 次に速さを聞いてきますので,標準の[−]を指定して下さい.[−]を押した途端,画面の虫が順に点滅し右下の数字の列が目まぐるしく変わるはずです.とても読み取れる速さではないですが,一応,何が起こったかを表示しています.ここで f・10 を押すと画面が止まり,読み取ることができます.たとえば;

  ♀( 17 23) 65 128 64 8 8   ♂( 18 23) 65 127 65 8 8    交尾成立   卵( 17 23) 65 128 65 8 8   卵( 17 22) 64 127 64 8 8   卵( 18 23) 65 128 65 8 8   卵( 17 24) 65 128 64 8 8   卵( 16 22) 65 127 65 8 8 のように表示されているはずです.この例では上の二行に示した雌雄から5卵が産下された状況が分かります.2行の空白はその方向への産卵を行なえなかったことを示しています.各形質を親子で比べてみると,この例では2つめの卵で配偶行動が突然変異していることに気づくでしょう.

 全体画面および観察画面で輪郭が白く反転している個体が,数字で表示中の個体です.[交尾成立]以外に[配偶行動不一致],[交尾不成立],[異常交尾・生殖失敗],[卵発生異常・無効産卵],[有効交尾なし]が起こり得ます.その度数が右下に世代ごとに合計されます.

 さて f・10 での中断はどれかのキ−を押すと解除され,更新が続行されます.しばらくそのまま見ていると,やがて予定の 5 世代目の状態を表示してメニュ−に戻ります.

 この f・10 での中断は,実際には滅多に使いません.普通は,画面左下に示しているように f・1 で行います.この場合,その世代終了後に更新を中止してメニュ−に戻ります.例えば停止予約世代を 100 としていて,9 世代目計算中に f・1 を押すと,10 世代目の状態を表示してメニュ−に戻ります.この時点で 100 世代までの更新はキャンセルされています.

 5 世代目で停止しましたが,引き続き同じ要領で 10 世代なり 100 世代なりの更新ができます.たとえば 20 世代目に到達したとして,この状態を保存してみ見ましょう.

 セ−ブやロ−ドはエラ−を出し易い操作ですので特に注意して下さい.[DEME]ではパス名(ドライブ名+ディレクトリ名)と拡張子を固定する方針で,途中での変更ができません.

 一度 f・2 で確認してみましょう.ごちゃごちゃした表が現れ,右下辺りにディレクトリという項目があります.セ−ブはこのディレクトリに対してのみ可能です.もし存在しないディレクトリが指定されていたらセ−ブできませんので,諦めて下さい(一旦[DEME.EXE]を終了し,後述の[設定を変更する]をやってください).どれかのキ−で元の画面に戻ります.

 さて,メニュ−にあるように S でセ−ブです.個体群ファイル名を尋ねてきますので,入力して下さい.パス名と拡張子は入れられません.入れるとエラ−のまま終了してしまいますので注意してください.とりあえず TEST とでもしておきましょう.正常にセ−ブできればメニュ−に戻ります.

 ほとんど同様に個体群のロ−ドや地図のロ−ドができます.ただし,選択可能なファイル名を一覧表に示したりという親切な仕掛けは作っていませんので,自分でちゃんと覚えておいて下さい.

 この他にメニュ−から指令できるものとして,以下のコマンドがあります.

海進,海退:+, -
押した時点で地図が書き換えられますが,個体群に影響が出るのは次世代からです.その時点では生存不可能な位置にも個体が存在し,表示されます.

印刷:H
印刷されます.

ビュ−オプション(色彩表示される形質)の変更:V
体色の表示が変更され.左下最下段の V の値が変化しています.
体色によって何が表示されているかは f・2 で参照してください.
0 → 1 → 2 → 0... の順に変わります.
普段は 0 にしておいてください.

チェックレベル(世代更新中に停止する条件)の変更:C
左下最下段の C の値が変化し.世代更新の際の停止条件が設定されます.
どの条件で停止するかは f・2 で参照してください.
0 → 1 → 2 ... 15 → 0... の順に変わります.
普段は 0 にしておいてください.

 終了は E です.

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【とにかく動かしてみる(DOS/V版)】

 DOS/V版は98版とほとんど同じですので,「とにかく動かしてみる(98版)」をご参照ください.98版と異なる点は;

ファイル名が少しづつ違います.
DEME.EXE → DEMEV.EXE
などです.保存されるファイルも;
DM000000.BTL → DV000000.BTL
のように異ります.詳しくは,使用ファイル一覧をご覧ください.
世代更新:G
高速世代更新を行う際に,隔離機構の発動回数をファイルに記録するオプション(*)があります.
印刷:H
印刷できません.PrintScreen をやっても白黒になります.
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【とにかく動かしてみる(Windows版)】

 起動すると,[MAIN], [GLOBAL VIEW], [LCAL VIEW]の3つのウインドウが開きます.

 初期状態は,ツルツルの平野に,一匹もいない状態です.下記のように,実行環境ファイル,地形ファイル,個体群ファイルを読み込んでください.

 [MAIN]ウインドウの[SET]ボタンを押して,実行環境ファイルを読み込む.
 [MAIN]ウインドウの[MAP]ボタンを押して,地形ファイルを読み込む.
 [MAIN]ウインドウの[POP]ボタンを押して,個体群ファイルを読み込む.

 [GLOBAL VIEW]で見たい地域をクリックすると,[LCAL VIEW]上にその地域が拡大表示されます.また, [LCAL VIEW]で見たい地点(ヘックス)をクリックすると,その地点および存在する個体の形質状態が表示されます.

 まず,世代を1世代分更新してみましょう.現在の世代数は,[LCAL VIEW]の右下近くの白地に黒字のフィールドに示されています.1世代分更新には,[MAIN]ウインドウの[GENERATE]ボタンを押してください.しばらくすると世代が更新されます.

 世代を複数世代,一挙に更新するには,[MAIN]ウインドウの[ACCELERATE]ボタンを押してください.何世代まで更新するか答えて,[GO]ボタンを押しすと更新がはじまります.

 個体群を保存するときは,[MAIN]ウインドウの[SAVE]ボタンを押してください.終了は他のウインドズアプリと同様です.

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【とにかく動かしてみる(Macintosh版)】

 Macintosh版はWindows版とほとんど同じですが,主な操作を([MAIN]ウインドウのボタンではなく)メニューバーから行います.

 また,画面が削れることがあるので各ウインドウに再描画ボタンを設けてあります.

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【DOS版限定機能について】

 DOS版限定機能は,98版とDOS/V版のみに備わっている機能です.これらはWindows上のDOSプロンプトからでも利用できます.

 DOS版限定機能の説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

地形ファイルの編集
地形ファイルエディタ(HEXED.EXE, HEVED.EXE)はDOS版のみです.

実行環境ファイルの編集
DOS版では実行環境ファイル名が固定されており(DEME.SET, DEMEV.SET),実験ごとにその内容を変更することで設定を行います.ファイルは生数字のテキストですのでエディタ等でも変更できます.
Windows上ではファイル名が自由(*.SET)ですので,実験ごとに実行環境ファイルを用意してあります.またエディタで編集して変更することができます.
Macintosh上でも,実験ごとに実行環境ファイルを用意してあります.

新規個体群の播種
DOS版ではカーソルが当たっている地域に,所定の形質状態の個体群を播種することができます.
Windows,Macintosh上ではこのような「神様行為」はできません.

個体群の解読ファイル形式へのコンバータ
通常の個体群ファイル(*.BTL)はテキスト形式ですが,複数の遺伝情報をまとめていますので,テキスト上で各個体の形質状態を視認,変更できません.DOS上で,これを見える形式の解読ファイル形式(*.POP)に変換するフィルタ(DMFLT.EXE, DVFLT.EXE)があります.
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【地形ファイルの編集】

 以下の説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

 地図のファイル[*.TRR]を[HEXED.EXE]で作ってみます.DOS のメニュ−から[HEXED.EXE]を起動してください.

《コマンドラインから起動する場合は単に >HEXED とやってください.オプションや引数はありません.》

 単純な地図が出てきて,はじめは全面が海です.まず,基本高度の設定をします.大文字の M を押すとプリンみたいな形の凡例が出てきて,ス−ペスバ−で基本高度が選べます.リタ−ンを押すと全面が指定された高度の準平原になります.

 以後,細かく地図を描いているときにこのコマンドを実行してしまうと,ノッペラボウに戻りますので注意して下さい.大文字のコマンドは一般に危険ですから,普段はキャプロックを解除しておきましょう.

 起動直後はカ−ソルが左上にあり,カ−ソルキ−とテンキ−で移動できます,r と c でポピュラス的な上昇下降を行い,u と n でヘックス単位の上下ができます.

 連続技で rrrrrrr とやれば屋久島みたいなものが,
rrrrrrcccccccrrrrrcccr とやれば,
竹富島とか大東島みたいなものが作れます.


図.屋久島と大東島を作ったところ(DOS/V版)

 K で地図ファイルがセ−ブできます.ここでもパス名,拡張子は固定ですので指定してはいけません.また,TEST などとしてみてください.ロ−ドも同様です.

 テキスト形式のセ−ブとロ−ドは,エディタでいじくりまわす場合を想定して用意したもので,普通は使いません.

 [DEME.EXE]でこの地図を呼び出したい場合は,他の地図で起動しておいて,メニュ−の中から地図のロ−ドを行って下さい.もちろんシステムディスクにあるディレクトリ \MAP にコピ−しておけば,DOS のメニュ−から[DEME.EXE]を起動する際に選択できるようになります.

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【実行環境ファイルの編集】

 以下の説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

 [DEME]における突然変異の生起確率,許容差異,標高ごとの生存率,ファイルのあるディレクトリ名などは[DEME.SET]というファイルに規定されています.これを書き換えてみましょう.このファイルの書換えは[DMSET.EXE]によって行います.

 [DMSET.EXE]を起動すると表が現れます.カ−ソルキ−の上下で項目を選択し,数値の場合は左右のカ−ソルキ−で増減します.

各々の数値の意味については第3章を参照して理解してください.文字からだいたい想像つくとは思いますが.色彩の変異率を高くしてみると楽しいでしょう.

 ディレクトリ名の指定は,リタ−ンキ−を押したあとキ−入力です.ディレクトリ名のあとには \ も入れて下さい,省略できません.

 いろいろ書き換えたあと,カ−ソルを右下に移動し,必ずセーブしてから終了してください,そのままでは保存されていません.

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【DOS版独立モジュールについて】

 DOS版独立モジュールは,98版とDOS/V版において,観察調査のための機能を飼育のための本体とは独立したプログラムとしたものです.これらの機能はWindows版やMacintosh版では本体内から利用できます.

 DOS独立モジュールの説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

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【98版での同定手順】

 以下の説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

 同定には[LUMP.EXE]を用います.これがあるディレクトリに移動し,起動してください.

 コマンドラインから起動する場合,単に;

>LUMP
とやってください.オプションはありません.引数としてパス名ファイル名を指定すると,そのファイルに種ごとの色彩分布行列が記録されます.既存のファイル名を指定すると上書きされますので注意してください.

 最初にスタックサイズを聞いてきます.このモジュ−ルは深い木探索を行うためスタックサイズを変更できるようにしてあります.普通は 40000 が適当なので,単にリタ−ンしてください.

 次にファイル名を聞きますので,DM__1000 などととします.拡張子は入力しないでください.

 処理が始まると,右半分に個体の地理的な分布が示され,[同種の同種は同種]と芋蔓式に個体が同定されて行きます.北から1種目が緑で2種目が水色です.

 引続き他のファイルを調べるときは N を選び,またスタックサイズとファイル名をいれてください.終了は E です.

 このモジュ−ルでは,同定結果に従って体色を変換してセ−ブすることもできます.また,種ごとに色彩の分布を行列にまとめてファイルにする機能もあります.

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【形質分布図参照手順】

 以下の説明では98版のファイル名を用いています.DOS/V版は98版とほとんど同じですが,ファイル名が異なりますので,使用ファイル一覧をご覧ください.

 同定には[DMGPH.EXE]を用います.これがあるディレクトリに移動し,起動してください.

 コマンドラインから起動する場合,単に;

>DMGPH
とやってください.オプション,コマンドライン引数はありません.

 最初にファイル名を聞きますので,DM__1000 などととします.拡張子は入力しないでください.

 次にモ−ドを聞きますので,1 にして下さい.グラフ上での各個体のプロットを前胸の色(黒の場合は白)でおこないます.

 配偶行動,交尾器形態,生理的形質,の三次元での分布を3枚のグラフ上に示します.

 引続き他のファイルを調べるときは N を選び,またスタックサイズとファイル名をいれてください.終了は E です.

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